はじめての底地相続|評価の考え方と相続税で後悔しないためのポイント
底地・借地
底地の相続税評価の話は、「相続税はどうなるの?」「評価が難しそう…」と不安を感じる方が多いテーマです。実際、借地権負担付の土地は、一般的な土地とは相続税の考え方が異なり、計算も少し複雑になります。本コラムでは、専門用語をできるだけかみ砕きながら、初めて底地の相続を考える方でも全体像をつかめるよう、底地の基本的な定義や相続税評価の考え方、事前に知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。
目次
底地とは何か?相続税評価と関係する基本知識
底地とは、建物の所有・利用を目的として借地権が設定されている土地のことです。土地の所有者である地主であっても、借地権者が土地の上に建物を建てて使用しているため、自由に土地を活用することはできません。このような制約があるため、相続税評価上は、土地の価値が「自用地価額(更地としての価額)」から、借地権者に帰属する価値を控除した残額として評価が行われます。
底地相続は事前準備が大切な理由
一般的に土地の相続では、評価額に応じて相続税が計算されますが、底地の場合、借地権割合によって評価額が変わるため、思っていたより税額が高くなったり、逆に評価を誤って申告リスクが生じたりすることがあります。
また、底地は自由に活用することが難しいため、市場での流動性はそれほど高くなく、すぐに売却できるとは限りません。納税資金のことを考えると、実際に相続が発生した際に、今後底地をどうするのか、家族の方針を踏まえ考えておく必要があります。相続が発生してから慌てないためにも、早めに全体像を把握し準備をしておくことが大切となります。
底地の評価方法
底地の評価方法は大きく分けて、路線価方式による相続税評価、不動産鑑定士による評価、金融機関による評価と3つあります。どの手法を用いるかは目的によって異なります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
路線価方式による相続税評価
相続税を計算するための評価方法です。国税庁が定める路線価と借地権割合を使い、底地の評価額を算出します。また、路線価が付設されていない地域の相続税評価は、倍率方式によって算出します。相続税の申告では、このどちらか一方が原則適用されます。
評価の基本式は、底地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合)です。
例えば、自用地評価額:1,000万円、借地権割合:60% の場合、
底地評価額:1,000万円 ×(1 − 0.6)= 400万円 となります。
実務上は、土地の形状、奥行価格補正、不整形地補正などの各種補正を行った後の自用地価額を基に計算されます。
不動産鑑定による評価
不動産鑑定士による評価は、地代水準、契約条件、将来収益などを反映した、実際の経済価値に近い価格を算定します。鑑定評価をそのまま相続税評価として使用することはありませんが、財産分割や相続人同士での話し合いの際などに、参考価格として使用されることがあります。
金融機関による評価(担保評価)
金融機関が融資の際に行う評価です。金融機関は、底地の換金性の低さを重視するため、相続税評価額よりも低い担保評価となるケースが一般的です。納税資金を借入で賄いたいといった場合の目安になります。
底地の価値は何で決まる?売却や整理を考える際の判断ポイント
底地の価値は、一般的な土地のように、単純な基準だけで判断できるものではありません。売却や整理を検討する場面では、複数の要因を総合的に見極める必要があります。価値を左右する要素には、立地や土地の形状といった物理的条件に加え、借地人との契約内容や借地権の種類といった権利関係の要素があります。さらに、将来の収益性や売却のしやすさに関係するものとして、地域全体の地価動向や周辺環境の変化も重要な判断材料となります。
これらの要素が複雑に絡み合うことで、同じ底地であっても、売却価格や整理の難易度に大きな差が生じるのです。
物理的条件
底地の価値は、借地権の有無にかかわらず、土地そのものの形状や立地条件の影響を受けます。
土地の面積や形状、接道状況によって土地の使いやすさは大きく変わり、間口が狭い土地や不整形地などは、売却や整理を考える場面で不利に働く要因となることがあります。また、前面道路の幅員や高低差の有無なども、将来の利用や維持管理に影響するため、価値判断を左右するポイントです。底地であっても、こうした物理的条件は土地の基礎的な価値を形づくる重要な要素といえます。
契約条件と借地権の種類
底地の価値を考えるうえで、借地人との契約内容や借地権の種類は非常に重要な要素です。
同じ場所・同じ広さの土地であっても、どのような契約が結ばれているかによって、底地の価値や売却のしやすさは大きく異なります。
たとえば、普通借地権の場合、更新が前提となるため、地主がいつ土地を自由に使えるようになるのか見通しが立ちにくく、将来的な活用や売却の自由度が制限されやすくなります。
一方、一般定期借地権や事業用定期借地権のように、契約期間の満了後に土地が返還されることが前提となっている借地権では、将来更地として利用できる可能性があるため、普通借地権とは異なる観点で価値が判断されます。
また、地代の水準や改定条件、更新料の有無、契約書の内容が明確かどうかといった点も重要です。地代が著しく低い場合や、契約内容があいまいな場合には、収益性の低下や将来のトラブルリスクが懸念され、売却や整理の場面で慎重な判断を求められることがあります。
地価動向や地域の将来性
底地の価値は、土地単体の条件だけでなく、その土地がある地域全体の動向にも影響を受けます。
地価が上昇傾向にあるエリアや、再開発・人口増加が進む地域では、将来的な需要が見込まれるため、底地としての価値や売却の可能性も比較的安定しやすくなります。
相続税評価額と実勢価格の違い
土地には「相続税評価額」と「実勢価格」という、性質の異なる2つの価格があります。
相続税評価額は、相続税を計算するために定められた基準で、主に路線価をもとに算出されます。一方、実勢価格は、実際に市場で売買される際の価格を指します。
相続税評価額は、課税の公平性を重視した目安であるため、市場での売却価格と必ずしも一致するわけではありません。特に底地の場合は、借地権者の今後の意向や、契約内容が整理されているかどうかによって、スムーズに売却できるかは大きく左右されます。
そのため、相続の場面では「評価額がいくらか」だけでなく、「実際にいくらで売れる可能性があるか」という視点も重要になります。相続税の計算と、相続後の資産の活用・整理は別物として考え、状況に応じて専門家に相談しながら判断することが大切です。
小規模宅地等の特例、底地の場合はなぜ注意が必要?
小規模宅地等の特例とは、相続によって取得した土地について、一定の条件を満たせば相続税評価額を大幅に減額できる制度です。
相続税の負担を軽くし、相続人が住まいや事業を続けやすくすることを目的としています。
たとえば、被相続人が住んでいた自宅の土地や、事業に使っていた土地などが対象となり、条件によっては評価額を最大で80%減額できる場合もあります。
ただし、どの土地でも使えるわけではなく、土地の使われ方や相続後の状況など、細かな要件が定められています。適用できるかどうかで相続税額が大きく変わるため、事前に内容を正しく理解しておくことが重要です。
では、なぜ底地の場合は注意が必要なのでしょうか。
借地人が建物を建てて使用している底地は、被相続人自身が居住していたり事業に使っている土地とは扱われにくく、原則としてこの特例の対象外となります。そのため、「土地があるから特例が使えるはず」と考えていると、想定より相続税が高くなることがあります。
例外的に判断が分かれるケースもありますが、適用の可否は契約内容や利用実態によって左右され、専門的な確認が欠かせません。相続が発生してから慌てないためにも、早めに専門家へ相談しておくことが大切です。
まとめ
底地の相続税評価は、一般的な土地とは異なり、借地権の存在や契約内容、土地の条件など、さまざまな要素を踏まえて判断する必要があります。そのため、「土地があるから大丈夫」「評価は簡単だろう」と考えていると、思わぬ相続税負担や申告リスクにつながることもあります。
また、相続税評価額と実際に売却できる価格は必ずしも一致せず、納税資金や相続後の活用方法まで含めて考えることが重要です。小規模宅地等の特例についても、底地では原則として適用されない点を理解しておく必要があります。
相続が発生してから慌てないためには、底地の基本的な仕組みと評価の考え方を早めに把握し、将来の方針を家族で話し合っておくことが大切です。判断に迷う場合は、税務や不動産の専門家に相談しながら、自身の状況に合った対応を検討していきましょう。
底地の相続について、専門家に相談してみませんか?
底地の相続税評価や、売却・保有・整理といった今後の選択肢は、土地の条件や借地権の種類、契約内容によって大きく異なります。
「うちの底地は売ったほうがいいのか」「相続税はどの程度見込んでおくべきか」など、少しでも不安がある方は、早めに専門家へ相談することで将来の判断がしやすくなります。
当社では、底地相続に関する無料相談を承っております。
現状の整理から、相続税評価の考え方、売却や整理を含めた今後の選択肢まで、お一人おひとりの状況に応じてわかりやすくご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
